Puddle Inc.

Puddle Inc. Architecture & Interior design company in Tokyo. Founded in 2012 by Masaki Kato.

.時と場をサーフするSurfing Through Time and Space私たちが今、Takanawa Gateway NEWoMan に新しく開いた Saturdays NYC は、「どこに属しているのか」という問いからはじまった。...
21/11/2025

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時と場をサーフする
Surfing Through Time and Space

私たちが今、Takanawa Gateway NEWoMan に新しく開いた Saturdays NYC は、「どこに属しているのか」という問いからはじまった。

ニューヨークという出発点から15年以上、日本という地で呼吸し続け約12年。文化や習慣と混ざり合い、ブランドのアイデンティティは進化し続けていると感じる。もはやそれは「ニューヨークのもの」でも「日本のもの」でもなく、双方の境界がぼやけ、溶けていく過程そのものが、新しい「場」の物語となっているとも言える。

空間はブランドの過去と未来を含む“今”を映す場である。

私たちが目指す場は、決して装飾空間ではなく、彼らが編み上げた時間と人の経験を纏う空気のような存在である。
「境界線をぼやかす」ということを意識した。
外と内、商業と生活、設計者と施主、過去と未来──それぞれの間に引かれてきた線を少しずつ曖昧にしていく。計画された合理性の中に、偶然や時間の痕跡が入り込む余地を残すこと。それが生きた空間へと変化させる力になる。

床には厚さ3cmのコンクリート平板をグリッド状に敷き詰めた。その整然さは都市の秩序を象徴しつつ、素材特有の粗さが光や影をやわらかく受け止める。
そのコンクリートと呼応するように配置されたのは、再利用された建築型枠用のメタルフォーム。使い込まれたスティールに刻まれた傷や塗装の剥がれは、時間が残した痕跡であり、均質を拒む個体差が空間に生命感を与えている。
そして、それら人工的な素材を包み込むように添えられたのが、北米の大地で150〜200年をかけて育ったウェスタンレッドシダー。
海を越え、時を重ねてきたこの木は、Saturdays NYC が辿ってきた旅路そのものを象徴している。

ニューヨークのブランドが日本で根を張り、さらなる地域へと広がっていく──この流れそのものをレッドシダーの重なりで表現するべく、斜め貼りという手法を用いた。
個性豊かなレッドシダーの斜め貼りが、空間全体に“揺らぎ”と“指向性”を与え、時間が流れ出すような印象をつくることを意図した。

さらに、天井や柱の一部には銅の粉を混ぜこんだ塗料を施した。
その作業は私たち設計者と施主が現場に立ち、手を動かしながら共に行ったものだ。完成されたものを単に「渡す」のではなく、互いの境界が交わる場所として共に“つくる”。効率の美学を越えて、そこに生まれるひとつの曖昧な領域──それがこのプロジェクトの本質である。

結果として、Takanawa Gateway NEWoMan の4階という人工的な条件の中で、内部と外部、共用と専有、人と空間がゆるやかに溶け合う場となった。
ここでは通り抜ける風や人の気配が空間に染み込み、訪れた人ごとに異なる時間が流れるように設計を試み、空間が「所有される」ものではなく、「共有される」ものになる瞬間を私たちは目指した。

誰もが簡単に美しい空間をつくれる時代だからこそ、私たちは「物語としての設計」—情景—を重ねたいと思う。素材や工程のひとつひとつに内在する時間、人の手が介在する痕跡、そしてブランドと場所が交わる瞬間──それらが重なることで、はじめて「場」は呼吸を始める。

境界線をぼやかすこと。それは不明瞭さを許容することでもある。
明確に分けることで失われてきた「人と時のあわい」を再び取り戻すとき、空間はただ存在するだけでなく、生きた体験を生み出す媒介となる。Saturdays NYC がこれからも進化を続けるように、この空間もまた変化し、時間とともに新しい意味を見つけ続けていくだろう。




Photo by DAISUKE SHIMA



.青山に多様な茶葉(ちゃよう)が織りなす茶畑をつくる創業1717年の一保堂茶舗は、300年以上にわたり京都で日本茶の伝統と革新を守り続けてきた。近江商人の渡辺利兵衛によって「近江屋」として始まり、幕末には「茶一つを保つように」と山階宮から「...
12/11/2025

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青山に多様な茶葉(ちゃよう)が織りなす茶畑をつくる

創業1717年の一保堂茶舗は、300年以上にわたり京都で日本茶の伝統と革新を守り続けてきた。
近江商人の渡辺利兵衛によって「近江屋」として始まり、幕末には「茶一つを保つように」と山階宮から「一保堂」の屋号を賜り、以来“お茶ひとすじ”の精神を現代へと紡いできた老舗である。
お茶を喉の渇きだけでなく心の渇きも癒す存在として捉え、多様な日本茶と、その魅力を届ける空間づくりにも常に進化を求めてきた。

この進化の過程で私たちは何を空間に込めるべきであろか。
試行錯誤の上導きだしたコンセプトは「青山に太陽・風・土を感じる茶畑をつくる」というものに行き着いた。
南青山の閑静な住宅街、根津美術館の緑を借景とした2階に、現代の都市でありながら“茶畑”の息吹と自然を創造する空間をつくりだした。

店舗中央に浮かぶ放射状に和紙を張り包めた円形下がり天井は太陽のメタファー(実際の恒星の1/250兆スケール)として存在し、室内全体を包みこむ中心的存在として出現している。
床材には漆塗りの麻布を用い、しっとりとした土壌の感触に包まれた茶畑にいるような、ここではない場所の気配を作り出そうとしている。

この天地に挟まれた垂直面の根津美術館の樹々を眺める大きなガラス開口腰面には、サイズの異なるリブガラスによる積層する茶畑のグラフィックを施し、視線の抜けは確保しながらも着席したゲストの居心地を守る機能も兼た。
強い日差しに対応すべく設置した「寒冷紗」カーテンも、実際の茶畑ではお茶をまろやかに育てる機能から拝借したアイディアである。
光と風を穏やかに通しながら喫茶の時間の心地よさを大切にしてもらいたい。

一方、物販エリアは喫茶エリアとは対照的に“茶畑の地中”を表現し、茶葉が根を張る豊潤な土の静けさと落ち着きを左官職人による土壁・土天井で演出。
抹茶、玉露、煎茶、番茶など多彩な茶葉に加え、急須など茶道具も豊富に取り揃え、店員と相談しながらゆっくり選べる設えとした。
土と共に使用した桜材は、近く青山墓地で見られる壮観な桜並木に想いを馳せてほしいとも考えての採用である。

地上の光あふれる喫茶エリアと、地中の静謐な物販エリア。
その明確なコントラストと共存が、一保堂青山の空間の大きな特徴となった。

“太陽・風・土”が織りなす茶畑の世界観とともに、老舗が磨き続けてきたお茶の本質を、現代の暮らしにふさわしい進化の過程を皆様と育てていければと願う。




Photo by DAISUKE SHIMA


.慎ましく街に、大胆に空にひらく場Modestly to the Street, Boldly to the Sky台南という街を歩くと、計画的な都市では生まれにくい、生活者の導線やヒューマンスケールの心地よさが随所に残っていることに気づく...
22/10/2025

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慎ましく街に、大胆に空にひらく場
Modestly to the Street, Boldly to the Sky

台南という街を歩くと、計画的な都市では生まれにくい、生活者の導線やヒューマンスケールの心地よさが随所に残っていることに気づく。
そこには日本統治時代の建築や街並みが多く残されており、どこか懐かしさを伴う情景が今も息づいている。

歴史的建築の隣で市場の朝食風景が展開されるように、異なるスケール・時間・文化が有機的に共存する点こそが、この街の魅力であると言える。

本プロジェクトの計画地は、台湾でも指折りの歴史を持つ清水寺(セイスイジ)とガジュマルの大木を眼前に望む生活路に面した、わずか間口3.5m × 奥行10mの長屋であった。上下階が入り組んだ複雑な不動産事情により、2階が1階の3倍ほどの広さを持つというユニークな構成となっていた。

設計は街並に対して「慎ましく」存在するファサードを設けることからスタートした。
間口3.5m × 高さ3mの高床フレームはカフェの顔であると同時に、腰を下ろすことのできるベンチとしても機能する。
手仕事の瓦の床や錫のカフェカウンターが内側へと意識を導き、通りに対して街のリズムを乱さず「カフェ」としての奥行きを加えた。
カフェカウンターを抜け、階段で2階客席へ。そこは「大胆に」外へ外へと視線も意識もひらく場とした。
通りに面した二つの開口部には、ガラス出窓と一体化したテーブルやベンチを設け、人々が眼前の清水寺や大樹、その先の空へとつながる効果を意図した。
内外が緩やかに溶け合い、風や光、植物と共に日常を未来へとつなぐ装置となる。
さらに客席に隣接したギャラリーは、天井を全面トップライトとし、柔らかな自然光の下で展示を楽しめる空間とした。
街に寄り添ったカフェの内部に「空が広がる余白」を差し込む場として計画している。
街の骨格を壊すことなく、小さなスケールの積み重ねで新しい共存を示しつつ、地域に根ざした日常の延長としてデザインを目指した。

「here kyoto tainan」は、京都と台南を結ぶ拠点であると同時に、「慎ましく街に、大胆に空にひらく場」として構想された。
都市の歴史や人の営みに対しては慎ましい姿勢で臨み、空という自然へは思いきり開いていく。この対比が示す可能性は、ここでの挑戦にとどまらず、未来に向けてさらに広がっていくテーマである。




Photo by DAISUKE SHIMA



.広がり混ざるクラフトマンシップ東京、新丸ビル4階にリニューアルオープンする「TSUCHIYA KABAN 丸の内店」は、ターゲットを広げていくため、より開放的で魅力ある店舗空間を目指して設計を進めた。東京・丸の内という多くの人々が行き交う...
13/10/2025

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広がり混ざるクラフトマンシップ

東京、新丸ビル4階にリニューアルオープンする「TSUCHIYA KABAN 丸の内店」は、ターゲットを広げていくため、より開放的で魅力ある店舗空間を目指して設計を進めた。

東京・丸の内という多くの人々が行き交う商業施設にふさわしい平面計画を意識し、象徴的なレザー什器を空間の中心に据え、来店者の視線が自然と奥まで抜けるような構成とした。

エントランスは、誰もが気軽に入りやすいよう間口を大きく設け、両端にR壁を配して店内へ誘導していく。什器は低く設計し、店内の見通しを良くすることで、回遊性を高めつつ、商品がよく見えるレイアウトを実現した。また、店内奥には外光を取り入れる窓があり、自然光を適度に取り込むことで、開放感のある空間づくりを目指した。鞄の日焼け対策として壁を建て閉鎖的にしがちであるが、今回はウッドブラインドと植栽を設けることで光の調整を可能にし、空間の抜け感を損なわない設計としている。

素材選定においては、商品が映えるシンプルな素材を採用しながらも、近くで見ると人の手仕事の温かみが感じられる質感を重視した。床にはコンクリート平板を敷き、共用廊下とのトーンにギャップを持たせることで、店舗の個性を強調した。また、奥のメンズエリアにはカーペットを敷き、よりドッシリとした上質感のある空間とすることで、落ち着いて商品をご覧いただけるように配慮している。

象徴的な部分には、京都店で試みた鞄職人との協業をさらに発展させ、丸の内店では都内の製造拠点と連携しながらオリジナルのレザーサンプルを制作。職人、施主、施工、設計が一体となって議論を重ね、理想的な空間づくりを実現することができた。

カウンターや円形什器など随所に本物の革をあしらい、土屋鞄のクラフツマンシップを演出。緊張感のあるグレー基調のミニマルな空間の中にも、落ち着きと柔らかさを感じさせることで、誰もが気軽に立ち寄れる雰囲気を創出させた。

伝統と革新を融合させた空間づくりを通じて、より多くの方々に土屋鞄の魅力を体感いただける店舗となることを目指した。




Photo by DAISUKE SHIMA


住所

日本橋小舟町14-7 SOIL NIHONBASHI 3F
Chuo-ku, Tokyo
103-0024

営業時間

月曜日 10:00 - 18:00
火曜日 10:00 - 18:00
水曜日 10:00 - 18:00
木曜日 10:00 - 18:00
金曜日 10:00 - 18:00

ウェブサイト

アラート

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