Ikken 建築と家具

奈良に行く予定があったので、奈良在住のスタッフにおすすめの寺社を尋ねてみました。いくつか挙げてもらった候補の中から、今回は伺いやすそうな浄瑠璃寺と新薬師寺を訪ねてみることにしました。新薬師寺のほうは、すぐ近くで住宅の現場があったこともあり、...
04/05/2026

奈良に行く予定があったので、奈良在住のスタッフにおすすめの寺社を尋ねてみました。いくつか挙げてもらった候補の中から、今回は伺いやすそうな浄瑠璃寺と新薬師寺を訪ねてみることにしました。

新薬師寺のほうは、すぐ近くで住宅の現場があったこともあり、これまでに何度か訪れたことがありましたが、浄瑠璃寺は今回が初めての訪問です。

どちらも本堂は非常に美しいプロポーションをしており、外観を眺めているだけで満ち足りた気持ちになります。静かに佇むその姿からは、時代を超えて受け継がれてきた均衡の美しさが感じられました。

浄瑠璃寺は平安時代後期、1157年頃に建てられたとされ、国宝である九体の阿弥陀如来像が横一列に並ぶ光景は圧巻で、堂内に足を踏み入れた瞬間、空気が変わるのを感じました。一方の新薬師寺はさらに時代が遡り、奈良時代(710年ごろ)に創建された建物で、国宝の薬師如来坐像と十二神将立像が円形の仏壇上に配置されています。当初は本堂ではなく、修行のためのお堂として建てられたという背景も興味深いものです。

仏像好きのスタッフに勧められただけあり、どちらの寺も、ただ建築を観るというよりも、仏像そのものに引き込まれていくような体験となりました。普段のように建築と庭との関係性を読み解くというよりも、ひたすらに仏像の美しさと向き合う時間となりました。

東大路通を自転車で走っていると、京都大学の傍らに建つアンスティチュ・フランセ関西(旧・関西日仏学館)の3階部分にあるルーフバルコニーが、いつも気になっていました。あの魅力的なスペースは一体どのようになっているのか、いつか見てみたいと思ってい...
28/04/2026

東大路通を自転車で走っていると、京都大学の傍らに建つアンスティチュ・フランセ関西(旧・関西日仏学館)の3階部分にあるルーフバルコニーが、いつも気になっていました。
あの魅力的なスペースは一体どのようになっているのか、いつか見てみたいと思っていたのです。

すると現在開催中のKYOTOGRAPHIEの会場の一つになっているではないですか、これはこの機会を逃してはいけないと思い、早速訪れてきました。

調べてみると、この建物はオーギュスト・ペレの弟子であるレイモンド・メストラレと、建築家・木子七朗の設計により、1936年に建てられたものだそうです。

バルコニーと内部空間の関係性、窓とドアが生み出す美しいリズム。やはり思っていた通り、そこには上品で素晴らしい空間が広がっていました。

吉田隆人

長流亭を後にし、そのまま京都へ帰るのも少し惜しい気がして、近くに興味深い集落はないだろうかと探してみました。そこで見つけたのが、北前船で江戸期に大いに栄えた、加賀・橋立の北前船船主集落です。この集落で昼食をいただいたあと、まずは北前船の里資...
26/04/2026

長流亭を後にし、そのまま京都へ帰るのも少し惜しい気がして、近くに興味深い集落はないだろうかと探してみました。そこで見つけたのが、北前船で江戸期に大いに栄えた、加賀・橋立の北前船船主集落です。

この集落で昼食をいただいたあと、まずは北前船の里資料館へ向かいました。私は司馬遼太郎の『菜の花の沖』が好きなこともあり、「北前船」と聞くと、つい胸が高鳴ります。

資料館では、船の構造や、長い航海のなかでどのような生活空間が船内につくられていたのか、そして船箪笥などの道具類まで、じっくりと見学しました。さらに、往時の繁栄を物語る贅を尽くした建築にも触れ、その余韻のまま町歩きへと向かいます。

橋立の町並みは、いわゆる漁師町の素朴な雰囲気とは少し異なります。海辺の町でありながら、集落は海よりも高い場所に広がり、起伏ある地形に沿って曲がりくねった道が続いています。そこには、船主や船頭たちが暮らした大きな屋敷が点在し、それらを囲む板塀が印象的です。

板塀は屋敷だけでなく、民家や蔵の外壁にも用いられており、町全体に統一された素材の美しさを生み出していました。そして、笏谷石の石垣が階段にも使われており、その端正な佇まいからも、この地がかつて豊かに栄えていたことが静かに伝わってきます。

韓国の写真家、具本昌(koo bohnchang)さんの展示が、設計をさせていただいたfactory zoomer / lifeにて開催されていたため、約一年ぶりに金沢を訪れました。自ら設計した建築に、多くの人が足を運び、その空間の中で自然...
26/04/2026

韓国の写真家、具本昌(koo bohnchang)さんの展示が、設計をさせていただいたfactory zoomer / lifeにて開催されていたため、約一年ぶりに金沢を訪れました。
自ら設計した建築に、多くの人が足を運び、その空間の中で自然と人々が集い、時間を過ごしている姿を見ることは、大きな喜びであると同時に、毎回新たな学びを与えてくれます。

そのような豊かな時間を金沢で過ごした翌日、石川県加賀市にある江沼神社 長流亭へ向かいました。長流亭の存在を知ったのは、建築家・竹原義二さんの著書『日本建築に学ぶ設計手法』で紹介されていたことがきっかけです。以来、いつか訪れてみたい場所のひとつでした。

長流亭は、旧大聖寺川のほとりに建つ建築です。現在とは川の流れや水位が大きく異なり、かつては大聖寺川と熊坂川の合流地点に、まるで水面へ浮かぶように建っていたそうです。水位も、今よりおよそ一メートルほど低かったといわれています。

何より心を奪われたのは、建物をぐるりと取り囲む開口部の美しさでした。周囲の景色を取り込みながら、建築そのものの立面的な美しさを際立たせています。その佇まいに触れると、小堀遠州の設計と伝えられていることにも深く頷かされます。

なお、内部見学には電話またはメールでの事前予約が必要とのことです。訪問の際は、ぜひご注意ください。

蘇州杭州からは新幹線で直接蘇州へ向かいました。車窓からの景色には、まだ若い木々ではありましたが、至るところで植樹が進められている様子が見えます。街ではバイクのほとんどが電動バイクで、車も電気自動車やハイブリッド車が多く走っています。ナンバー...
15/04/2026

蘇州

杭州からは新幹線で直接蘇州へ向かいました。車窓からの景色には、まだ若い木々ではありましたが、至るところで植樹が進められている様子が見えます。

街ではバイクのほとんどが電動バイクで、車も電気自動車やハイブリッド車が多く走っています。ナンバープレートの色分けによってそれらが一目で分かる仕組みになっており、交通量は多いにもかかわらず、驚くほど静かな車道でした。ただ、自分で運転する姿はなかなか想像できませんでした。

そして楽しみにしていた、運河のある都市・蘇州へ。水路のある街にはやはり特別な魅力があります。平日にもかかわらず観光客であふれ、多くの人々が華やかな衣装をまとい、思い思いのポーズで写真撮影をしている光景は実に印象的でした。

その賑わいに少し疲れて裏通りへ入ると、そこには一転して驚くほど静かな世界が広がっていました。まるで時間を遡ったかのような街並みです。閉店間際の市場へ駆け込む人々や、片付けに追われる商人たちの姿には、どこか懐かしさがありました。

華やかな表通りの熱気と、裏路地に流れる静かな時間。その対比こそが、蘇州という街をより深く心に刻む風景だったように思います。

吉田隆人

杭州上海から杭州までは新幹線でおよそ45分。駅構内は広大で、そこには大勢の人々が列をなし、駅に入るにも飛行機に乗るかのような厳重なチェックがあります。ホームへは列車到着直前まで入ることができず、そのため構内は人であふれ返っていました。今回は...
15/04/2026

杭州

上海から杭州までは新幹線でおよそ45分。駅構内は広大で、そこには大勢の人々が列をなし、駅に入るにも飛行機に乗るかのような厳重なチェックがあります。ホームへは列車到着直前まで入ることができず、そのため構内は人であふれ返っていました。

今回は一等席に乗せていただきましたが、座席はゆったりとして快適で、お茶とおやつまで用意されていました。

そして、目的地である話題のアートスポット「天目里」へ連れて行っていただくと、まるで誰か別の建築家と間違われているのではないかと思うほどの手厚いおもてなしを受け、終始戸惑いを隠せませんでした。

「天目里」は、建築家レンゾ・ピアノが設計を手がけた17棟からなる複合施設です。商業施設やオフィス、ホテル、美術館、ショップ、ギャラリーなどが集まり、その見学だけで一日を過ごしました。さらにはゲストルームにまで宿泊させていただき、施設の魅力を存分に体感することができました。

これほど大規模な施設でありながら、「都市の憩いの場」をコンセプトに、中庭を中心として立体的に庭や茶園が広がっている光景は圧巻です。時間の経過とともに、さらに魅力を増していくであろう期待感がありました。

また、普段なかなかお会いできない魅力的な方々ともご縁をいただき、そこで作られた貴重なお茶までお土産に頂戴しました。西湖の穏やかな眺めとともに、また杭州を訪れたいという思いが自然と湧いてきました。

吉田隆人

最近、中国を訪れたデザイナーさんや工芸作家さん、ブランドマネージャーさんたちから、「まだ行ったことがないなら、一度は訪れたほうが良い」と、上海や杭州の話をよく聞いていました。そんな折、ちょうど上海と杭州へ来ないかとお声がけをいただき、せっか...
15/04/2026

最近、中国を訪れたデザイナーさんや工芸作家さん、ブランドマネージャーさんたちから、「まだ行ったことがないなら、一度は訪れたほうが良い」と、上海や杭州の話をよく聞いていました。そんな折、ちょうど上海と杭州へ来ないかとお声がけをいただき、せっかくならと蘇州も加えていただき、今回の旅が実現しました。

上海

上海では商業施設を中心に巡ったため、いわゆる観光地には足を運んでいません。それでも、街を歩けばアオギリの並木が美しく、旧フランス租界のショップには洗練された空気が漂っていました。その景色や空間の質の高さに、すっかり魅了されてしまいました。

また、日本の個性あるブランドや建築家、デザイナー、工芸作家たちがこの地で活躍している様子を見ることができたのも、大きな刺激となりました。

吉田隆人

花粉症に悩まされるこの季節、北山杉の里を訪れるのは少し気が引けましたが、思い立って高山寺・石水院へ足を運びました。久しぶりの古刹訪問です。石水院は、明恵上人が用いたとされる鎌倉時代の寝殿造の建築です。濡れ縁と蔀戸によって切り取られた空間は、...
02/04/2026

花粉症に悩まされるこの季節、北山杉の里を訪れるのは少し気が引けましたが、思い立って高山寺・石水院へ足を運びました。久しぶりの古刹訪問です。

石水院は、明恵上人が用いたとされる鎌倉時代の寝殿造の建築です。濡れ縁と蔀戸によって切り取られた空間は、蔀戸が低い軒のような役割を果たし、額縁のように風景を切り取りながら、内と外とをやわらかくつないでいます。

やがて季節は新緑へと向かいます。花粉の様子をうかがいながら、これからもぼちぼちと建築巡りを続けていこうと思います。吉田隆人

一枚板の屋久杉によるテーブル。天板には、古材を扱う泰山堂さんに屋久杉の一枚板を二枚ご用意いただき、その中から割れの少ない一枚を分けていただきました。これほど貴重な材でテーブルを製作するのは、私にとっても、家具職人の山口健太郎さんにとっても初...
28/03/2026

一枚板の屋久杉によるテーブル。

天板には、古材を扱う泰山堂さんに屋久杉の一枚板を二枚ご用意いただき、その中から割れの少ない一枚を分けていただきました。これほど貴重な材でテーブルを製作するのは、私にとっても、家具職人の山口健太郎さんにとっても初めての経験です。

脚のデザインもいくつか検討を重ねましたが、最終的にはシェーカーの大テーブルを思わせる、簡潔な二本脚に落ち着きました。材についても二人で相談を重ね、チークを採用しています。

一方で、天板の形状は最後まで悩ましいところでした。耳を残すのか、それとも思い切って切り落とし、端正な印象に整えるのか。現場に実際に持ち込み、クライアントや大工さんとも意見を交わしながら検討を重ね、最終的には中央がやわらかく膨らむ、樽型のような自然の輪郭を生かすかたちに決まりました。

杉という、家具としてはあまり扱われない材でもあり、仕上げについては大工の中野さん、杉野さんにご相談しました。鉋による繊細な仕上げは、杉野さんが一日で見事にまとめてくださっています。

無事に納まり、山口くんとともに安堵しています。

次は、同じく泰山堂さんから分けていただいた栂材による、立礼式茶室のためのテーブル。
なかなか味わうことのできない、緊張感のある家具づくりが続きます。

本テーブルは、日本料理店「かはづ」さんに納品させていただきました。
お越しの際は、ぜひテーブルにも目を向けていただけますと幸いです。

HIN アーツ&サイエンス 二条通京都かつて A&S 京都があった京町家の空間を、新たに「HIN」として再構成する改修に携わらせていただきました。 また、A&S ANEYAKOJI KYOTOでは、ikkenの家具も多数展示いただいておりま...
23/03/2026

HIN アーツ&サイエンス 二条通京都

かつて A&S 京都があった京町家の空間を、
新たに「HIN」として再構成する改修に携わらせていただきました。



また、A&S ANEYAKOJI KYOTOでは、
ikkenの家具も多数展示いただいております。
お近くにお越しの際は、ぜひご覧ください。

住所

Kyoto-shi, Kyoto
6040064

ウェブサイト

アラート

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